トップメディケア通信高血糖が及ぼす大血管障害 〜 糖尿病予備軍でも脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクは高まります 〜
高血糖が及ぼす大血管障害 〜 糖尿病予備軍でも脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクは高まります 〜

 血糖値が高い状態が続くと、細い動脈だけでなく太い動脈にもダメージを与えます。動脈は心臓から全身に酸素と栄養素を送り込む血管で、動脈硬化が進行すると内壁の弾力性がなくなったり詰まったりして心筋梗塞や狭心症、脳梗塞を引き起こすことがあります。国内外の研究で、糖尿病は動脈硬化性疾患の発症・死亡リスクを2~3倍上げることが知られています。また、世界的な大規模試験「UKPDS35」では、糖尿病を発症する前の段階(糖尿病予備群)で、心筋梗塞をはじめとする冠動脈疾患の発症率が上昇することが明らかになりました。多くのコホート研究でも食後高血糖と冠動脈疾患の発症率が密接に関係していることが報告されており、早期より進行を予防することが重要です。

【 大血管症(冠動脈疾患)の発症リスクは、糖尿病が軽いうちから上昇しています 】

大血管症(冠動脈疾患)の発症リスクは、糖尿病が軽いうちから上昇しています

UKPDS35では2型糖尿病患者において糖尿病の進行と、細い動脈の閉塞でおこる「細小血管障害(神経障害や網膜症など)」および太い動脈の閉塞でおこる「大血管障害(冠動脈疾患)」の発症との関連性が検討されました。その結果、細小血管障害の発症率は HbA1c値(*)が 8% を超えた時点より急速に高くなり、冠動脈疾患に関しては HbA1c値が5~7% の低いレベルから発症率が上昇していることが明らかになりました。
*HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、採血時より過去1〜2か月程度の血糖値を反映する値です

糖尿病が引き金となる心疾患の死亡率は、年々増加しています

心筋梗塞や狭心症をはじめとする冠動脈疾患は、糖尿病の主な死因のひとつです。冠動脈は心臓を覆うように張り巡らされている血管です。動脈硬化によって狭窄または閉塞が生じると、心筋に十分な血液が供給できなくなるために細胞が酸素欠乏状態に陥り、心筋がやがて死んでしまいます。死んだ心筋細胞は再生することはないため、治療を受けても後遺症が残る場合があります。
糖尿病患者が冠動脈疾患を起こすリスクは高く、欧米では糖尿病患者40〜50%の直接死因が心筋梗塞であることがわかっています。日本においても心疾患による死亡率は年々増加しています。
通常、狭心症や心筋梗塞は発症時に胸が押さえつけられるような感覚や痛みを生じますが、糖尿病の場合は合併症である神経障害の影響で痛みを感じにくく「無痛性心筋梗塞」を起こす傾向にあります。「突然意識を失って搬送先の病院で検査したところ、冠状動脈がほぼ詰まっていて緊急手術をした」など、発見時にはかなり進行しているケースがあるため、注意が必要です。

【 動脈硬化を起こした心血管の状態 】

動脈硬化を起こした心血管の状態

狭心症は血液中に悪玉コレステロールなどの脂質細胞がたまり(プラーク)、動脈の内腔が狭くなるため酸欠状態に陥る病気です。心筋梗塞は狭くなった内腔の部分でプラークが破裂し血栓ができ、血流が途絶えることにより心筋の細胞が壊死します。

【 糖尿病患者に多い「無痛性心筋梗塞」 】

糖尿病患者に多い「無痛性心筋梗塞

通常、心筋虚血があると労作時(身体を動かしている時)の胸痛や動悸といった症状がありますが、糖尿病の場合、定期検査で心筋虚血が偶然見つかるなど自覚症状がなく心臓に異常をきたしている方が多くみられます。ある日突然、心筋梗塞を起こしたり突然死したりするケースもあるので注意が必要です。

【 主な死因別にみた死亡率の年次推移 ~心疾患は日本人の死因の第2位~ 】

主な死因別にみた死亡率の年次推移 ~心疾患は日本人の死因の第2位~

心疾患は日本人の死因の第2位となっています。糖尿病が全死亡に占める割合は多くないものの、血糖値の高い人は正常な人に比べ心疾患の危険性が約3倍に高まるとの調査結果が報告されています。実際には糖尿病(高血糖)が起因となり心疾患が進展するケースが多く、糖尿病療養への取り組みは、とりわけ重要となっています。

糖尿病の場合、虚血性脳卒中の発症率が高くなります

脳卒中には脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れる「脳出血」があります。糖尿病で多いのが脳や脳につながる血管の動脈硬化が原因となる脳梗塞で、非糖尿病者に比べると発症リスクは2〜4倍高いことが分かっています。脳の血管が詰まるとその先に血液が流れなくなり、酸素欠乏や栄養不足で一部の組織が死んでしまいます。そのため重い後遺症が残ることが多く、兆候を見逃さないことが重要です。注意が必要な症状としては「片側の手足のしびれ・脱力感」「ろれつが回らずうまく話すことができない」「顔半面に力が入らない」「ものが二重に見える」「片方の目が見えなくなる」「ふらふらしてバランスを保てない」「話を理解できなくなる」「めまい」「突然の激しい頭痛」といったものがありますが、脳のどの部分が障害されるかによって症状は異なります。いずれにしても、脳卒中を疑ったら直ちに専門の医療機関を受診することが重要です。脳梗塞の場合、発症してから数時間以内に治療をすることで後遺症を最小限にくいとめられる可能性があります。たとえ症状がおさまったとしても「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼ばれる、脳梗塞の前触れの発作である可能性がありますので、すぐに受診するようにしてください。

【 糖尿病と脳梗塞の発症リスク 】

糖尿病と脳梗塞の発症リスク

「正常型」・・空腹時血糖値100mg/dL未満、随時血糖値140mg/dL未満
「境界群」・・空腹時血糖値100〜125mg/dL、随時血糖値140〜199mg/dL
「糖尿病群」・・空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値200mg/dL以上、あるいは糖尿病治療中の者

脳梗塞には脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」と、脳や首の太い血管が動脈硬化になり血栓で詰まる「アテロ―ム性脳梗塞」、心臓にできた血栓が流れてきて脳の太い血管が詰まる「塞栓性脳梗塞」があります。日本人を対象とした大規模調査「JPHC Study」で、糖尿病群が、それらの全疾患の危険因子であることが明らかになりました。

心臓病や脳卒中を起こさないために

心筋梗塞や脳卒中などの脳心血管系疾患を予防するには、動脈硬化の進展を早くから防ぐことが大切です。動脈硬化の促進要因となるのは「高血糖」「高血圧」「腹部肥満」「脂質異常」「喫煙」「加齢」「遺伝」などで、これらの要因がいくつも重なると動脈硬化の進行が早くなります。治療の基本となるのは食事や運動、禁煙など生活習慣を見直すことですが、それだけで改善しない場合はお薬による治療を考慮します。近年は、体重が増えにくく低血糖を起こしにくい血糖降下薬など治療薬の選択範囲が広がり、より高い治療効果が期待できるようになりました。当院では、患者さまの年齢や合併している病気の有無、副作用などを考慮して個々にとって適切な治療をご提案いたします。
いずれにしても重要なのは、自覚症状がないうちから定期的に検査を受け、からだの状態を把握することです。当院では、必要に応じて心電図や心臓の超音波検査、頸動脈超音波検査、動脈硬化(血圧脈波)検査などの詳しい検査を行い、合併症の早期発見や進行予防に努めています。

【 糖尿病合併症の進行を評価するために、様々な検査を実施しております 】

心電図検査

掲載日:2019年12月3日


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